REPORT

ディープな世界を視察

「まちを視る」分科会 天王寺界隈フィールドワーク

 「まちを視る」分科会では、10月31日(土)に「誰もが知っている大阪、誰も知らない大阪」をテーマに、地デ研副理事長の岩本様の案内で、大阪で最もディープな天王寺界隈のフィールドワークを行いました。10月末としては大変暖かい日差しの中、15名の参加で集合場所の天王寺駅を出発しました。(文:茂福隆幸)

●一心寺で高口長老のお話を聞く


都島阿倍野線予定地


一心寺 門


高口長老からお話を聞く

 最初に訪れたのは昭和21年に都市計画決定されましたが、未着手の都市計画道路「都島阿倍野線」です。

 天王寺駅前なので高い容積率のため周辺にはビル等が建ち並んでいますが、計画部分は建築規制があり木造の老朽住宅が建ち並び周辺から取り残された状態となっていました。

 次に「日想観」と遺骨で造られた骨仏で有名な一心寺を訪れました。土曜日とは言え沢山の参詣者で賑わっていました。一心寺の歴史は1185年に法然上人が訪れ暫らく滞在したことに始まり、後白河法皇も一緒に日想観(夕陽に手を合わせて南無阿弥陀仏を唱える)を修せられたと伝えられています。参拝の後に高口恭行長老から仏教の講和や様々なお話をお聞きしました。高口長老は京都大学建築学科を卒業後、助手、工学博士を得て、奈良女子大学の教授から縁があって一心寺の住職になられました。一心寺の建物は大阪大空襲ですべて焼失しましたが、昭和41年の大本堂の再建後、建築家でもある高口長老の造られた鉄とコンクリートの斬新な山門(=写真、準防火地域であったために木造の門は不可)や壁や天井がコンクリートの打ちっ放しで東洋版ステンドグラスのある日想殿や念仏堂など、現代建築による施設も多く、大変興味深かったです。

 長老のお話によると、大阪市の都市計画はハード面が優先してソフト面が後回しになっているとのことで、ご自分で「夕陽丘の散策案内」や「夕陽丘むかし話マップ」や「夕陽丘歴史の散歩道」などの冊子を作成し無料配布により大阪のソフト面によるPRをされています。また、ご自身が万博後遺症になっているとかで、広場を好まれておられ、特に参内においてカフェテラス調に椅子やテーブルを置かれていました。建物では日想殿の壁や天井のコンクリートの打ちっ放しに、上質の桧を型枠に使用され、木目やうっすらと木の色が付いているのに目を奪われました。

 最後に長老の案内で三千仏堂を訪れましたが、講堂壁面に描かれた「雪山弥陀三尊図」や講堂周りの「千体仏」と「十二神将」には感動しました。講堂は檀家(会員)が高齢化になり正座はつらいのですべて椅子席にされ、出入り口は開けっ放しで誰でもが自由に出入りできるようになっており、まるで教会のような感じがしました。

●観光客で賑わう 新世界・通天閣界隈

 一心寺を後にしてじゃんじゃん横丁から新世界、通天閣界隈を歩きました。土曜日とは言え沢山の観光客で賑わい、特に若者が多いのに驚きました。新世界は1912年の内国勧業博覧会跡地に開業したもので、当時では日本一の高さの75mの通天閣(パリの凱旋門の上にエッフェル塔が載った形)が建設されました。現在のものは1956年に建設された2代目で高さは103mあります。今の新世界界隈は昔ながらの串カツや芝居小屋に、若者たちが集まるような飲食店やバーが建ち並び、新しいスタイルのまちとなり、新しい観光スポットであり、ミナミ、キタに次ぐ大阪の繁華街になりつつあると思われました。



新世界を歩く

●破綻のFGから「あいりん地区」へ


旧フェスティバルゲート

 次に1997年に総工費500億円で開業し、地域柄から過度の警備費が嵩み、店舗撤退により2004年に破綻したフェステバルゲートの前を通り、「あいりん地区」に行きました。フェステバルゲートは大阪市が200億円の赤字補填をしましたが結局は破綻し、2009年に再入札でパチンコ大手のマルハンが約14億円で落札し現在再建が待たれています。 「あいりん地区」は1966年に命名され、約20haに3万人が暮らします。その中に1万9千人の日雇労働者が居住滞在し、200件近い簡易宿泊所があります。道路を不法占拠した店舗や三角公園のテントは目立ちましたが、想像していたよりは悪い状態ではありませんでした。今後、高齢単身者が増加し、医療、福祉、労働を総合的に対策することが望まれます。

●整然とした「旧飛田新地」を通り抜ける

 次に道下さんのお友達が経営されている「喫茶軽食 日本一」で少し喉を潤おし、旧飛田新地を通り抜け、国の有形文化財に登録され遊郭独特の数寄屋造りの「鯛よし百番」前で記念写真を撮りました。新地を通った時間が4時半を過ぎていたので既に開店しており、玄関先に座る女性を横目で見ながら通り過ぎましたが、統一された看板と提灯と建物が建ち並び、整然とした風景を形成していました。

 最後に道路を隔てて別世界と思われる阿倍野再開発地区を通り、2014年完成予定の阿部野橋ターミナルビルの建設地を見ながら、懇親会場のあべのルシアスに行きました。今回は岩本様の案内で、一心寺の仏の世界から、極めてディープな大阪の現実の世界を見学しましたので、最後まで話題が尽きることがありませんでした。


「鯛よし百番」前で記念撮影


阿倍野再開発地区を視る


あべのルシアスで懇親会

(※詳細は議事録としてHP等で公開いたします)


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