富山市、高岡市を訪問

2006年度現地シンポジウム

テーマは「公共交通とまちづくり」

 新型車両導入など路面電車の再生・復活によってまちの活性化を図ろうとする取り組みが全国各地でみられる。地域デザイン研究会の2006年度現地シンポジウムは9月8日、9日の両日、新しい路面電車「富山ライトレール」を開業した富山市、3年前から新型超低床車両を導入するなど路面電車「万葉線」の再生と環境にやさしいまちづくりに取り組む高岡市を訪れ、公共交通の新たな担い手と期待される路面電車に試乗するとともに、関係者との意見交換を行った。

◎富山ライトレール 約60万人が利用

 富山市では、既存の富山港線を身近な公共交通機関として再生しようと富山ライトレール富山港線として路面電車化し、今年4月に開業した。富山駅北駅(電停)〜岩瀬浜駅(電停)までを7.6km(単線)で結ぶもので、電停は利便性を高めるため新駅を5ヵ所加え計13電停とし、車両は全車2両連結のLRT(愛称:ポートラム)を導入している。開業以来の利用者は順調で、820日現在で約60万人が利用。平日・休日の1日当たり利用者数は開業前に比べ平日で約2倍、休日で約6倍になったという。

 車両の外観デザインは7色のアクセントカラーを車両ごとに展開、7編成の個性を際立たせている。また、電停は海を感じさせるマストをモチーフに展開し、背面風防ガラスに駅周辺の歴史や歳時記などを紹介するグラフィックにより各駅の表情を個性化する工夫が見られる。

 富山ライトレールは施設の整備、更新、改良を公共が担当、交通サービスの提供、施設維持管理を第3セクターが行うという公設公営方式。第3セクターは赤字を前提にスタートしているが、将来は富山駅南側の路面電車と相互乗り入れの計画もあり、「南北路線がつながれば(赤字は)十分取り返せる」と関係者は語る。沿線の総合的まちづくりも進められ、岩瀬地区では歴史的景観を生かした取り組みがなされ、路面電車を利用して訪れる観光客も多い。

 現地シンポジウム参加者一行17人は、富山駅北電停から新型車両に乗車、岩瀬浜駅までの快適走行を満喫。岩瀬地区では重要文化財の北前回船問屋「森家」などを見学した。


富山ライトレール岩瀬浜駅で記念撮影(現地シンポジウム参加者のみなさん)

◎万葉線存続で利用者15%増加

 2日目(9日)は高岡市を訪問、RACDA高岡(路面電車と都市の未来を考える会・高岡)関係者の案内で、高岡駅前から万葉線に試乗した。


万葉線の新型車両


同旧型車両

 万葉線は高岡市(高岡駅前)〜新湊市(越ノ潟)を結ぶ12.8kmの路面電車。経営母体であった加越能鉄道株式会社が万葉線の廃止、バス代替輸送への転換を打ち出したことを受け、地元行政や各種団体が魅力あるまちづくりに活用すべき都市施設であるとして存続に向けて精力的に取り組み、平成14年に第3セクター「万葉株式会社」を設立、運行することになった。

 年間利用者数は2002年度以降に上昇に転じ、13年度(98万人)に比べ約15%増(17年度)に回復している。2004年1月からは新型超低床車両(愛称:アイトラム)を導入、旧型車両についても車体に動物の絵を描くなど創意工夫を施している。

 案内していただいたまちづくり集団「RACDA高岡」は、市民が利用しやすい公共交通システムを考えながら、人と環境にやさしいまちづくりを目指して活動し、会員数は約60名。万葉線の活用施策や関連イベントを企画するなど市民側に立った行動に意欲的。万葉線の試乗、町並みを散策した後、土蔵造りの町並みにある「山町茶屋」でRACDA高岡の関係者を交えて意見交換をした。


高岡市土蔵造りのまち資料館にて


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