REPORT

大阪モノレール門真駅~瓜生堂駅(仮称)の延伸事業について

大阪府都市整備部交通道路室都市交通課 横山詩歩

 大阪モノレールの門真以南への延伸事業(門真市駅~瓜生堂駅<仮称>間8.9㎞)が3月に都市計画決定され、懸案だった同事業もいよいよ本格化段階に入った。延伸事業を主管する大阪府都市整備部交通道路室に依頼し、事業の経緯、延伸事業概要、整備効果などについて寄稿していただいた。

■大阪モノレール事業の経緯 大阪都市圏は、大阪市を中心として発展し、鉄道網も大阪市と周辺都市を結ぶ放射状に形成されてきた。しかし、都市圏の拡大発展に伴い都心部では、交通の過度の集中により、ターミナル駅での混雑等、弊害が発生する一方、都心周辺部では、市街化の進展により既存の鉄道サービスを十分に受けることができない地域が拡大したことにより、放射鉄道と結節する環状方向の鉄道網の整備が急務となった。

また、交通弱者にも優しい公共交通体系の確立・道路交通の円滑化、まちづくりへの貢献、都市空間の有効活用・効率的整備として、昭和49年度より、環状モノレール建設に向けた技術的検討や需要と採算性等の経営に関する基礎調査に着手した。昭和55年には、モノレールを運行する運輸事業者として、大阪高速鉄道株式会社(府:52%(当時)出資)が設立され、その後、各種調査・検討を経て、環状モノレール(現大阪モノレール本線)第Ⅰ期事業区間(大阪空港~南茨木)を昭和57年に都市計画決定し、事業を進め、平成2年に千里中央~南茨木間で営業を開始した。さらに、平成3年に第Ⅱ期事業区間(南茨木~門真市)、平成5年には、茨木市北部丘陵地での大規模開発の交通手段として計画された国際文化公園都市モノレール(現彩都線)の事業に着手した。その後、平成6年に柴原~千里中央間、平成9年には大阪空港~柴原間及び南茨木~門真市間と徐々に営業区間を伸ばし、また、彩都線では平成10年の万博記念公園~阪大病院前間、平成19年の阪大病院前~彩都西間が開業し、平成29年度には全線で13万人/日が利用する路線となっている。

門真以南への延伸は、近畿地方交通審議会答申第8号(平成16年10月8日)に位置付けられたが、バブル経済の崩壊による府の財政状況の悪化や大阪高速鉄道株式会社の累積欠損金早期解消のため、平成18年、事実上凍結された。

平成13年度以降、継続して単年度黒字を計上し続け、累積損失解消の兆しが見えたため、平成20年、将来構想として、地元市と連携しながら、需要と採算性を見極めていくと大阪府財政再建プログラム(案)に位置付けられた後、平成24年~平成26年に事業化に向けた検討を実施。平成28年1月の大阪府戦略本部会議で事業化が意思決定され、平成31年3月に都市計画決定された。

■延伸事業の概要

事業主体(インフラ、インフラ外)

この事業は、本線の終端駅である門真市駅から東大阪市瓜生堂までの8.9kmを延伸するもので、途中交差する放射鉄道と結節させながら、新たに4駅((仮称)門真南駅、(仮称)鴻池新田駅、(仮称)荒本駅、(仮称)瓜生堂駅)を整備する。需要は延伸区間3万7千人/日(全区間14万人/日)を想定している。

開業目標は、現地着工から概ね10年後の令和11年としている。インフラ部(支柱、桁等の土木構造物及び駅の主たる構造物)を大阪府がインフラ外部(電気線、通信線等、列車運行に必要な施設)については大阪高速鉄道株式会社が事業主体となり、概算事業費は、約1,050億円(インフラ部:740億円 インフラ外部:310億円)としている。

■整備効果

整備効果として期待できるものは以下の3つがあげられる。

  1. 大阪圏の鉄道ネットワーク機能の強化
      大阪都心部から放射状に形成された鉄道と環状方向に新たに4路線と結節することにより、環状方向のアクセス経路の確保など鉄道ネットワーク機能が強化され、利便性が高まる。

  2. 交通リダンダンシーの確保
      放射状の大阪メトロ長堀鶴見緑地線、JR片町線(学研都市線)・近鉄けいはんな線・近鉄奈良線と接続されることにより、大規模災害時における特定経路の運行停止時において、京都・奈良方面へのリダンダンシーの確保に寄与する。また、代替えルートの確保を図ることができる。

  3. 環境負荷の軽減
      大阪府東部・北摂間において自動車からの転換が図られ、自動車交通量が削減されるとともに既存道路の旅行速度の改善・交通混雑の緩和が促進されることにより、温室効果ガス排出量の低減につながる。

■今後の予定

 前述の通り、平成31年3月19日に都市計画が告示され、同日には大阪高速鉄道株式会社が国土交通大臣より軌道法による軌道運輸事業について特許された。現在は、工事着手に必要な、都市計画事業認可及び軌道法の工事施行認可取得の手続きに入るため、モノレール構造物に関する基本設計を進めている。

これらの認可取得後、速やかに工事に着手し、大阪高速鉄道株式会社とともに、令和11年の開業を目標に事業を進めていくこととしている。


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