主張

人口減少の行く末

村橋正武

わが国が人口減少社会に突入して早や10 年、日常生活、社会・経済・文化・環境面への影響は日に日に大きくなっている。まちづくりではコンパクト化を目指す取組みを進めているものの、その行く末にあまり期待が持てない。ここでは研究活動を通して知り得た事実に基づく厳しい実態を述べる。 

大学でまちづくりのあり方を模索しているが、人口減少は大都市圏に住む我々が普段感じているよりはるかに進行し、それこそ4 年前の日本創生会議(代表増田寛也氏)が発表した全国1800 市町村の約半数が「消滅可能性都市」に相当するという衝撃的結果を裏付ける実態が見られる。47 都道府県にコンパクト化の取組み(具体的には逆線引きの実施、立地適正化計画の策定等)と各市町村の現状を問い合わせた。その中から複数の市町村を対象にヒアリング、現地調査等により現状分析と問題点を抽出した。現在作業途上にあり、これまで把握した概要を述べる。

一言でいえば、わが国の都市、特に人口10 万人以下の地方都市はすでに存続の壁から転落しつつあると言える。「消滅可能性都市」ではなく「消滅しつつある都市」と言ってよい。急速な人口減少傾向に歯止めをかけ、少しでも減少傾向を食い止めるというのが世間一般の考え方であるが、現実ははるかに厳しい。ここ10 ~ 20 年間に多くの都市が解体・消滅し、人々が住み・働き・遊ぶ空間は三大都市圏とせいぜい地方中枢・中核都市圏に限られるのではないかと推察される。国や地方公共団体は女性の合計特殊出生率の向上、二地域居住(マルチハビテーション)、東京への一極集中の是正等により何とか自然減、社会減を少なくする施策を講じようしているが、地方都市では既に人口減に加えて超高齢化が進行し生産年齢人口や若年人口が激減することにより、社会を維持することすらできない事態に直面している。

近年、水道をはじめ橋梁、トンネルなどの社会インフラの維持についてこれまで以上に危機感が高まり、政府も国土強靭化に軸足を置きはじめたが、これだけではない。地方にとっての最も基礎的体力(地域力と言ってもよい)である社会力、経済力、文化力、自然環境維持力(特に農林水産活動)の全てが脆弱になり、もはや事態を好転させる反発力、バネを失っている状態にある。 

この文章を書いている丁度この時、さらに衝撃的記事が出た。12 月17 日(月)の日経(朝刊)に「消える街の顔・地域に寒風」と題して百貨店の閉店が止まらない記事が掲載された。上記の地方都市の消滅危機は規模の小さい都市に見られる実態であって、地方中枢中核都市等の比較的規模の大きい都市ではまだ地域力を具備していると考えていた。ところがこの記事によれば北九州市、仙台市、姫路市等の百貨店が閉店しているという。記事はあくまでも取材結果であって、この他に閉店予備軍があると想像される。こうなると人口規模の大小を問わず日本の都市の行く末はいったいどうなるのか。 

この中で考えていることは歴史から学ぶことである。人口歴史学者によれば、わが国の歴史は右肩上がりの歴史の中で4 回人口減・人口停滞の時代を経験したという。近年では徳川中期から明治期にかけての150 年間である。人口減の時代に人々はどのような価値観でどのような生き方をしたかを学ぶことから示唆が得られないかと模索している。もちろん社会・経済・文化条件が異なり、さらに現在の生活水準を維持し続けることを前提とした価値観の見直しなど、様々な条件・要因を考慮の上次世代に向かってのシナリオを描くことは正直至難の業と言わざるを得ない。