REPORT

「あべのハルカス」にアベノの新しい息吹を知る

~「まちを視る」分科会FWを開催~

  「まちを視る」分科会は11月5日、「アベノの新しい息吹を知る」をテーマに、あべのハルカスのフィールドワーク(FW)を開催しました。今回は、近鉄不動産株式会社アセット事業本部ハルカス運営部の西栗課長に案内人をお願いしました。


60階展望台から天王寺公園方面を望む

会議室で説明を聞く

◆あべのハルカスの現状と今後の展開

 あべのハルカスは大阪市阿倍野区に立地する超高層ビルで、阿倍野橋ターミナルビルの中核を担っています。日本国内の建造物において東京スカイツリー、東京タワーに次ぐ3番目の高さ。2010年に着工、2014年3月に全面開業しました。高さ300m、地下5階、地上60階のハルカスの低層階には近鉄百貨店と美術館、中層階にはオフィス、高層階にはホテルや展望台が入居しています。今回は10名の参加があり、ハルカス25階の会議室で西栗様からハルカス事業の背景と現在の展開について話をうかがいました。

 説明によると、百貨店間の競争激化、近鉄百貨店建物の老朽化、都市再生緊急整備地域への指定による容積率や高さ制限などの大幅な緩和措置、ホテルやオフィスなど必要な都市機能の検討、航空制限の解除などがあったことが事業の背景となり、2014年に開業。現在、百貨店としては約10万㎡、オフィスとしては約4万㎡、客室数360室のホテル、美術館、展望台を含む高層ビルとして営業中。また、天王寺公園の管理運営を大阪市から受託し、さらにあべの・天王寺の魅力を向上させることで、ハルカスの集客力向上を図る今後の取り組みについても説明を受けました。

 質疑では、ハードとしては大規模集客ビルとして運営されているが、大阪北部地区と比較すると阿倍野地区のイメージが良くないことや、難波や通天閣まで来ている外国人観光客をなぜ阿倍野まで引き込むことができないのか-など、様々な課題に言及した話題となりました。ハルカスは近鉄阿倍野店の建て替えが発端で計画されたものの、百貨店だけでは経営が困難との現状があり、集客力をアップさせるためにはハルカス単体としてではなく、阿倍野地区全域を有機的に結び付けて開発する必要があること。そうすることで、阿倍野の持つマイナスイメージを転換できるのではないか。周辺の都市環境も整備することで、最新のビルから昭和レトロの街並みまで混然一体としたエリアとしての独特な魅力をアピールし、住みたくなる街になるように阿倍野地区全体のイメージアップを図る必要があるという意見も出ました。また、住宅や事務所、物流立地は国土軸との関係で関西地区は神戸~大阪北部~京都地区に集中しており、大阪南地区の不動産は弱含みであり、今後差別化する中で魅力あるまちとして再編成する必要があるとの指摘もありました。

 その後、ハルカス内のオフィスを見学し、大阪大谷大学や四天王寺大学、阪南大学などのサテライトキャンパスが入っているキャンパスフロア、専門クリニックが入っているクリニックフロア、ビルの中の保育園等を見学。さらに60階の展望台から、地上300mからの大阪の街並みを見下ろしました。

◆古き良き時代の阿倍野との融合

 夕方からは昭和の居酒屋のたたずまいを色濃く残している明治屋で懇親会を行い、他にはない雰囲気で盛り上がりました。地デ研メンバー間では、居酒屋としてはかなり優秀な雰囲気であり活用しない手はないとの意見が出て、今後の阿倍野地区のあり方について議論が盛り上がりました。阿倍野地区独特の雰囲気は関西の他地区とは明らかに異なったものであり、新しいものだけでなく古き良きものを同時にうまくアピールすることで、大阪南部地区の集客だけではなく、大阪北部地区の住民にもアベノの魅力を認知させる戦術を組み立てられるのではないかとの意見になりました。

 今回のフィールドワークでは、どこにもない阿倍野という土地柄を生かして、全国的にも超高層ビルとしてのハルカスだけを発信するのではなく、新旧混然としたまちとして独特の魅力を醸し出している地区として、今後一体整備したうえでアピールしていくべきではないかとの結論になったように思われます。今後の展開が楽しみです。


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