~洲本市鮎原地区の古民家改修プロジェクトが完成~

学生達が調査・設計から施工まで従事

大戸修二

 淡路島・洲本市が京都工芸繊維大学と連携して取り組んできた、五色町鮎原下地区の古民家改修プロジェクトが完成。10月9日、新しい息吹が吹き込まれ、よみがえった施設「ついどはん」で、完成披露の記念イベントが行われた。「ついどはん」とは建物近くにある「辻堂」にちなんで付けられた愛称で、市と大学の連携で地域を支援する「域学連携事業」として実施。学生たちが1年半前から調査・計画・設計に従事、施工段階でも設計事務所や施工会社の現場監督、大工さん、左官屋さんらの指導を受けながら創意工夫の現場作業に関わってきた。地元農林水産物などの情報発信拠点や都市住民の交流拠点として、今後の有効活用が期待される。


土間からキッチンを望む
 改修対象となったのは100年以上前に建てられた古民家で、長年空き家状態だったものを所有者が洲本市に寄贈したことから、今回のプロジェクトに結びついた。市から依頼を受けた京都工繊大の鈴木克彦教授は、「現地で建物を見た時、損傷具合から学生たちで再生できるのかと不安になった」と当時のことを振り返る。

 敷地内の建物は母屋、長屋門、蔵からなる。改修工事の発注は設計事務所、施工会社に対し行われ、専門的で構造上の重要部分などは大工、左官などプロが実施。学生達は内装、キッチン、里床(ウッドデッキ)の3班に分かれ、リーダー、副リーダー、正規スタッフ、施工スタッフと役割分担を決めて学内活動、現場活動に関わった。学内では構造診断・修復の検討、地域診断・歴史的評価の分析、設計、長短期活用計画、什器製作などを進めた。主に夏休みと冬休みには、梁磨き・塗装、外壁板張り、土壁仕上げ、床の間仕上げ、里床土台・板張りなどに長期で関わった。

■創意工夫のアイデア生かす


室内作業にあたる学生達

改修が終わった全景(点前は民家西側の田畑)

 
「蔵」南面はガラス張り

 同プロジェクトを通して学生達が提案したのは「古民家の良さを残した設計」、「敷地の形状を生かした外構計画」、「多様な使われ方の提案」などで、随所に創意 工夫のアイデアが生かされた。中でも里の風景の魅力を生かす試みとして、母屋から長屋門へと張り出す形で設置した里床は優れものといえるだろう。また、蔵の改修・改造もその1つ。蔵には窓がなく、入り口も入りにくいことから、入り口段差を改修、内部床面はコンクリート張りとし、昔の農機具、ミシンなどを展示するとともに、南側一面をガラス張り(=右の写真)に変えた。ここではワークショップなどが可能だという。

 リーダー役を務めた大学院生、深津実紗さんは「学生が全体を通して関われた。皆と頑張ってきて出来あがったのがうれしい」と満足そう。鈴木教授は「学生の成長が目に見えて満足している。完成後の生かし方、使われ方が大事で、洲本発展につながる施設になってほしい」と話していた。


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