私の一冊

日本なぜ、「戦争ができる国」になったのか

矢部宏治:著 集英社:刊

推薦者:鎌田 徹

 公開された米国の文書をたどっていくと、日米間には、①基地権密約と、②指揮権密約があった。基地権については、出入国はノーチェックとか、米軍の独占空域の設定とかの他に、米軍の活動には日本法律は適用されない。さらに、米軍の存廃や規模の変更はアメリカの判断にゆだねられている。これらは、1959年、藤山外務大臣とマッカーサー駐日大使との間で再確認の文書が交わされている。

 一方の指揮権密約は、有事の際には、自衛隊は米軍の指揮下に入るというもの。最初は当時の吉田茂首相の口頭の約束だったものが、「国連軍」いう装いのもとに、明文化された。「どこに国連軍がいるんだ」と思いきや、朝鮮半島には未だ国連軍が存在する。これに無理矢理ひっかけた。そして有事のみならず平時から指揮下に入っているとのこと。その理屈は本書を読んでもらいたい。

 これら一連の取り決めに関して、当時の交渉担当者は、「こんなことを表に書くと国民の反発を招く」ということで、裏の密約文書に回してしまった。国民の反発を招こうが、公表してしまえば、もっと変わっていたかも知れない(これは本書では言っていないが)。もう一つ、田中耕太郎の砂川判決がある。これにより、「米国との取り決めは憲法に優先する」という判例を作ってしまった。だから憲法にかかわらず、「2+2」とか堂々とまかり通っている。

 さてどうするか、まず本書を読んで事実を知ること。そして、他国(ドイツ・フィリピンなど)の事例も参考に研究すること、国民世論を構築することが必要と思われる。日本の現状を考える上で、必読の書である。


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