私の一冊

「なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか」  田口理恵:著 (学芸出版社)

  ドイツでは、再生可能エネルギーが、全体の26.2%に達している。ここまで来るには、市民自らが、エネルギーシフトを企画、推進する積極的な姿勢と、連邦、自治体の支援、法整備がある。様々な事例が紹介されている。1例としては、市民が共同出資で、送電線を買い取り、再生可能エネルギーでの発電、販売をやってしまう。各家庭での太陽光などの発電があれば買い取る。もちろん、自治体のバックアップもあり。

  もう一つ、省エネルギーの推進がある。パッシブハウス。完璧な断熱構造、南側に大きな窓を設け、太陽光を入れる。太陽の光と熱利用、台所やバスルーム、電気機器、さらには人体の発する熱も利用、熱交換器つきの空気調整器、などによって、電力などによるアクティブなエネルギーを通常の2割程度に抑える。これは、エコの意識とともに、電力費の節減という実利が伴う。初期投資は必要だが、長期的にはプラスになるという。

  メルケル首相が、2011年3月11日の福島原発事故直後に、10年で原発を終えると宣言した。これには、長年にわたる市民の運動があったとのこと。

  すべてが順調とばかりではない。2014年に8月に「再生可能エネルギー法」が大改正され、一定規模以上の発電施設に関しては、固定価格買い取り制度が廃止され、補助金による支援に変わる。自分で販売先を見つけなければならない。また、バイオマス発電の新規建設は、生ゴミや食べ残しを原料としたものだけ許可されるようになった。

  これらは日本でそのまま実現することは難しいが、まずは事例に学ぶことが大切と思う。その意味で、この書は、日本でのエネルギーシフトを考える上で必読の書といえる。著者の田口理穂氏は、1996年よりドイツ在住。

(推薦者:鎌田徹)


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