私の一冊 

生きて変えてきた男~ある日本兵の戦争と戦後~ 小熊英二:著(岩波新書)

大正14年(1925年)素封家(普通の財産家)に生まれた小熊謙二の生涯の物語。著者は息子の英二。

 物心ついてから、1931年満州事変、1937年中国事変、そして1941年アジア太平洋戦争と戦争が進み、敗戦色濃厚となって東京大空襲があった1944年11月24日の明くる日11月25日に謙二は19歳で召集された。

 行き先は満州、関東軍の精鋭は南方へ引き抜かれており、その穴埋めに初年兵が充当された。訓練やら受けている内に、1945年8月9日に突然ソ連軍が侵攻してきた。関東軍は全然予想していなかった。そのあと、武装解除、3年間のシベリア抑留、帰国。

 帰国後は、職を転々としたあげく、肺結核を患い片肺を失っている。その後も職を転々としていたが、スポーツ用品店の営業で成功し、結婚し家族を呼び寄せている。その中で英二が生まれた。その英二が現在慶應義塾大学の政策学部教授となりこの本を書いた。単なる体験談ではなく、その時々の社会背景が描かれている。また、謙二の運命はどうなるかという興味で引き込まれる。このような体験を後生に伝えるため、この本は出版された。これからの世代にとって、必読の書である。ちなみに謙二はまだ生きている。

(推薦者:鎌田徹)


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