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東北の復興 様々、そして・・・

阪神電気鉄道 技術顧問

立間康裕

 毎年2~3回東北の被災地を訪問し、福島県を除くほとんどの地域を見てきたが、これまでの体験を通して感じていることを整理してみたい。昨年10月に石巻市など宮城県の南部地域を視察してきたので、その概要を含めて記述することにしたい。


女川町の復興状況

●宮城県南部地域の復興状況


(図-1) これまで訪問した被災地

 今回は、宮城県最南端の山元町など直線的な海岸線と平坦な地形により甚大な津波被害を受けた3市を視察した。しかし、復興の方向性は各市で異なった状況となっている。


(図-2) 山元町のコンパクトシティ化

 最初に視察した山元町では、JR常磐線を内陸部に移設し、新しい居住地区を新駅周辺など3カ所に集約し、「歩いて暮らせる町」コンパクトシティ化を目指し現在整備中である。(図-2)しかし、特産品を生産するイチゴハウス近隣への住宅整備は禁止されるなど課題も存在する。


(図-3) 名取市閖上地区の土地利用計画案

 名取市では閖上地区などで現地再建を目指し、多重防御(第1防御ラインの海岸堤防と第2防御ラインとしての嵩上げ道路などによる対策)により宅地も3~4mの盛り土を計画している。住民の合意形成に時間を要したが、区画整理区域を縮小したうえで、昨年10月に着工にこぎつけている。(図-3) 

 また、東松島市では当初から市長が内陸移転の方向性を示し、JR仙石線の旧来駅付近での復興公営住宅(東矢本駅あおい地区=写真)を一部完成させるなど順調に復興が進捗していた。しかし、ここでも従来から見られていた人口減少と高齢化による今後に不安を残している。

●震災復興にあたって

 今回訪問した地域を含め、被災地の復興計画には共通した考え方や手法がある。広範囲に被災した国土を復旧復興するためには、地震被害の規模や状況などは様々であるため、一定の統一的な考え方に沿った方針は必要であろうが、復興計画の策定にあたっては、被災地の地形、町や集落の特徴などを考慮した内容を模索することが重要であると思われる。以下に課題の一部を整理してみた。

<基礎自治体の重要性>

 災害復興の基本的な主体は本来基礎自治体であり、補助金だけに頼る過度な国や府県への依存は防災自治の放棄に繋がるのではないか。また、被災地の行政技術者の存在は復旧復興には不可欠であり、他都市のOB技術者の活用を含めた柔軟な制度設計も必要ではないだろうか。

<災害危険区域の指定>

 建築基準法第39条に基づく「災害危険区域」の指定は、もともとは崖崩れなど避難困難な地区に適応するものであり、東北被災地の臨海部における広範囲な指定は「防災集団移転」のための指定になっているのではないか。避難道路の整備等によりもっと生活圏としての活用などの検討をすべきではないのか。

<平常時での教育と支援体制の準備>

 釜石における“津波てんでんこ”などの防災教育は重要である。特に、小学校からの継続的な意識付けは、親や次世代への波及、継承にも繋がり有効である。また、平常時から基礎自治体間との複数の行政的な繋がり、例えば姉妹都市による人事交流などは、災害時における避難や技術的支援に結びつくため、是非とも危機意識を持って平常時から取り組む必要があるのではないか。


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