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素人の私が滋賀大学「地域活性化」の授業を担当するようになるまで

有限会社 アリカエンタープライズ 田中賀鶴代

 2013年4月から、滋賀大学経済学部の「地域活性化コーディネイト」の授業を担当することになった面白い経緯についてお話しいたします。

 今年、「アリカエンタープライズ」を起業して23年目を迎えます。普段の主な業務はセミナーや講演、イベントプロデュースなどです。内容はビジネスマナー、カラーコンサル、ブライダルから医療接遇、和文化・茶道などですが一貫して「おもてなし=ホスピタリティ」を軸にしています。

 ウェディングの世界では日本の古来からの祝言という形を今風に「人前式」にしたり、リングクッションやウェルカムベアなどの演出方法の基盤を築き、企画したサービスはいくつか賞もいただきました。情報がなかった時代のことです。今や結婚するカップルは必ず読むという「ゼグシイ」という結婚情報誌の20年前の創刊号から弊社が取材されています。起業して10年過ぎ、ウェディングプロデューサーとしての役割を終えようと思い出した頃からカラーデザインの仕事の依頼が増え、「購買意欲の高くなる商店街」「協調性を育む保育園」など色彩心理を活かしたコンセプトで町・地域に関わる仕事をさせて頂くようになりました。

 マスコミからもよく取材を受け「ウェディングやカラーの知識を生かして、こんなことはできないか」を次々依頼していただくようになり、今度は「まちおこし」の仕事が入ってくるようになりました。一番多かったのが地域の「婚活イベント」で成立したカップルを対象とした、その土地の風土文化を活かした「ふるさとウェディング」の企画でした。「国際交流」「モノづくり」「市民劇団」にも関わりました。依頼される内容が膨らんでくるにつれ「まちづくり」「まちおこし」について基礎から勉強の必要性を感じ、大学院に行くことも考えましたが年齢も年齢でしたし、卒業後につける仕事を調べると、もうすでに現在関わっている仕事でしたので、実務の世界で勉強するつもりで「地域デザイン研究会」の門を叩かせて頂いた次第です。

 私が考えた「まちおこし」の手法は、主役が「地元・地域」であり、そこに観光、物産、交通、大学、エンターテーメント、モノづくり、農業、婚活・結婚、医療・福祉などを組み合わせていく「コミュニティマネジメント」をイメージしていました。 ちょうどその頃、エンターテーメントの吉本興業様から、「地域活性化プロジェクトを立ち上げたいので力になって欲しい」という話があり、方向性に似たところがあったので協力することにし、以前からご縁があった地域にお声をかけたところ滋賀県の彦根の地域住民の団体が立候補され、スタートしました。

 彦根では、さっそく自治会・活動グループ等の代表を中心とした50人を超える地域住民実行委員会を立ち上げ対応することとなりました。吉本興業としても地域活性化はあまり経験がなく、地元との温度差を埋めることは大変なので弊社がコーディネイターとして入ることとなりました。まずシナリオ作家が地元に入り、地元の歴史や物産などの特徴を盛り込んだオリジナルストーリー創ることから始めました。その台本をもとに、「彦根吉本新喜劇」を上演、地元の一般市民も70人参加しました。彦根市民ホール開館以来の初の昼・夜2回公演で2,800人満席をはたし、大爆笑の渦となり大成功をおさめました。

 2年目はもう少し進化させるため、「彦根吉本新喜劇」に加え、市民お笑い劇団をご提案し、地域住民が主役の吉本プロデュース「彦根新喜劇塾」を設立しました。オーディションを合格した市民が3カ月プロの指導を受けて、吉本新喜劇の前座という形で舞台に立ちました。出演する家族が観たいということでチケットは発売当日完売。他に、地元芸能やプロの漫才を上演し、またまた2,800人満席となりました。同時に屋外では商店街も巻き込み地元の特産品を中心としたグルメフェスタも開催しました。

 まちおこしには「ばかもん、わかもん、よそもん」が重要と言われますが、地元の実行員会では、運営ボランティアに「わかもん=若者」をいれることに苦戦していました。そこで、滋賀大学の学園祭の実行委員会に参加を依頼するとともに、大学当局へこの活動に関わることを授業として取り入れるよう提案しました。その結果、学園祭実行委員会の参加とともに、正式の前期授業として認めていただき単位もとれるようになりました。4月になって、学生の募集をすると、定員20名が満杯となる応募があり、無事授業のスタートを切ることができました。

 3年目の今年の6月9日上演に向けて、たくさんの大学生が関わってくれています。今後は添付の図にあるようないろんな組織をどんどん結び付け、地元が主役で地域が活発になるように働きかけたいと思っています。


 そんなことでズブの素人だった私が「地域デザイン研究会」で勉強させていただき、地域と組織の接着剤の役割をするようになり、滋賀大学の「地域活性化」の授業を担当するまでになりました。 ここにご報告させていただくとともに心から厚くお礼申し上げます。


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