主張

アベノミクス

おうちサロン「敷島庵」亭主  山部 茂

 いわゆる「アベノミクス」による景気回復が喧伝されている。 具体的な施策というよりは、単なる掛け声と人事施策だけで株高・円安を実現させ、国民も今のところは何もしないで懐が温かくなった気分になっている。それはそれで大変結構なことなのだが、経済成長率2%つまるところは国富の拡大が本当に実現するのかがこれから問われることになる。

 このような期待がある一方で学者やマスコミの中には、政策の是非論や失敗した時の影響を懸念する声もあると聞くが、国民の期待に基づく支持率の高さにそういった声も途切れがちではある。しかしながら、アベノミクスで掲げられた3つの矢の「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」はともかく、三番目の「民間投資を喚起する成長戦略」は歴代の政権が挑み続けたにも関わらず実現が出来なかった分野であり、最も困難が予想され尚かつこれができなければ日本経済のより一層の悪化が懸念される施策でもある。国民の一人としては、是非成功してもらわなければならない課題ではあるが、我が国がおかれた根本的な状況の改善が果たして成しうるのかが問題であろう。

 近年、急速に経済発展を遂げ、政治的にも自信とともに我が国への圧力を高めてきている中国と韓国は戦後の日本の発展と挫折の歴史を研究し尽くして国家を繁栄に導こうとしている。そういった中で理想論が先行し、楽観的な見通しと政治的な稚拙さが同居し、かつ多様な(ある意味寄せ集めの)党内の意見を集約出来ずに政治的に追い詰められて自滅に至った民主党政権と対になる政治的手法は一体何なのか?。また我が国の将来を考えず、バラマキ施策によって財政の危機的状況を招いたのは誰だったのか?。今こそ、日本のこれからの正しい進路を定め実行していく政治の役割が問われているのではなかろうか。

 今の日本で確実に起こっている(あるいは起こりうる)与件は、いくつかあげられる。@少子高齢化の進展とそれによ る就業人口の減少さらには国内の消費者の減少、A中韓をはじめとする日本を研究し尽くした新興国の台頭、B貿易収支の赤字定着と自国民による国債消化能力低下による財政危機 の顕在化・・・。これらはいずれも避けて通ることの出来ない近未来の日本の危機である。

  「アベノミクス」はこれらの課題を解決すべく提案された政治家からの提案なのであろう。

  従来の政治の延長上で何もしないよりははるかに良いし、 一時的にせよ我が国の立ち直りには役立つ施策ではある。例 えば昨年末までの過度な円高は是正すべきであったし、現在でもその水準はまだ高いかも知れないぐらいではある。しか しながら、原発事故に端を発したエネルギー問題が元に戻ろ うかとしているように、国民の心の中に潜んでいる何とかなる(或いは誰かが何とかしてくれる)と思う甘えの構造と、 グローバルな視点での現状への理解、そしてこれらを調整し 正しい方向に導く政治家の選出が今求められていることではないのか。

  鉄の女と称された英国の元首相サッチャー女史は逝った。 政治家は全ての政策が国民のよい評価を得ることはない。また、評価そのものも後世になって初めて確立される。国民全体が熱狂した対外的な強硬姿勢は、独裁的な姿勢を持つ政治家のプロパガンダによるものが多い。一方、経済的な施策の変更は国民の一部に必ず犠牲を強い不人気な政策となる。 今の日本では政治家いや国民にこれに立ち向かう勇気があるのか。

  リタイアした、あるいは逃げ切り寸前の団塊世代よ、如何 でしょうか?


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