REPORT

「水とみどりの履歴・記憶」調査を実施

〜大阪北河内地域対象に視覚的な資料づくり〜

 鎌田徹

 これまで、20、21、22年度の3年間、「北河内地域の地域遺伝子発掘による地域づくり調査」を行ってきて、「地域遺伝子マップ」の作成を終わったところだが、近畿建設協会の支援事業も4年目となる、平成23年度は、地域づくりのための「水とみどりの履歴・記憶(アーカイブ)」調査を行った。

■目的

 東日本大震災は予想を上回る大きさであったが、人類の歴史を振り返ると、たとえば明治29年の三陸沖地震のように、大きな地震と津波による被害が記録されている。過去の災害への正しい知識と危機意識を持ち続けどのように自然と対峙していくかが厳しく問われている。安全であるように見える大阪においても開発や土地の改変が進み人々の関心が薄れ見えなくなった事柄、特に「水」との戦いの歴史(治水・利水、災害等)及び生活の原点である「みどり」の変化と記憶(田畑、山林、丘陵、樹木等)などは絶対に忘れてはならない。

 そのような観点から、大阪北河内地域における「水とみどりの履歴」を当NPOが持つ手法とネットワークを最大限に活用し調査を進め、視覚的でかつ利用しやすい資料として提供し、市民、行政等の安全で豊かなまちづくりの一助となるようとりまとめた。

■調査の手法

<調査の体制>

 常時は、平峯理事長、松田、下条、山本、鎌田が中心となり、適時その他の会員からも、アドバイスや情報の協力をいただいた。

<文献調査>

 北河内各市の市史、淀川100年史など、100に上る文献から資料を集め、分類・系統化を行った。

<ヒアリング>

 大阪府枚方土木事務所、国土交通省淀川河川事務所、各市の担当部署等からヒヤリングを行い、資料の提供を受けた。

<国土地理院1/25,000の地形図活用>

 明治20年・25年、大正14年、昭和2年・47年、平成18年・20年の北河内各地域の地形図に、過去の湖沼等を重ね合わせたり、緑の変遷、条里制、新田開発、浸水被害の箇所、治水施設、利水施設、囲堤、輪中、段蔵、舟運、等をジャンル別に重ね合わせ、視覚的に表現した。

<現地調査>

 文献等で調査した内容を確認するため、調査メンバーで、現地調査を行った。

<とりまとめ>

 目次は、Tはじめに、U地域を知る−河内平野の成り立ち−、V北河内地域での水との戦いと利用、W河川・溜池及び用排水路の現況と履歴、X土地利用の変化と「美フォ利」の現況、Y水等に関する昔話・言い伝え(教訓)、Zおわりに

 別添図のように、項目毎に、左側に図面、右側にその説明を書き、A3版67ページの報告書にとりまとめた。

 なお、平成23年度の報告書は、ご希望の方があれば、実費(A3版の場合2,000円、A4縮小版の場合1,000円)にておわけします。

■本調査の成果

○…膨大な資料を収集・分析・整理し、現在生活している人々が、過去の歴史、履歴として記憶しておく必要の
ある事項を取りまとめた。

○…それらを視覚化するため、国土地理院の地形図を加工し多くの人たちにわかり易いものとすることができた。

■平成24年度の近畿建設協会支援事業

 これまで4年間の成果を受けて、「地域遺伝子及び水とみどりの履歴を生かしたまちづくり(その1)」と題した、近畿建設協会支援事業が決定した。

 その内容は、行政と連携してこれまでの調査の知見や成果を地域の中で具体化していく試みである。現在大阪府枚方土木事務所において、防災を視点とした地域づくりを進めつつある。そこに地域遺伝子及び先人達の歴史を組み込み、地域住民の参画のもとに文化と伝統を生かした特色ある地域コミュニティづくりをめざして、活動を進めていく予定である。

 会員の皆様のご支援、ご協力をお願いします。


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