主張

「幸福度」への取り組みに「信頼と合意形成」を

蜩c保男

 昨年(2011年)11月に「日本でいちばん幸せな県民」(坂本光司/幸福度指数研究会著、PHP研究所刊)と題して、幸福度全国ランキングが提示された。また、12月には「幸福度に関する研究会報告書−幸福度指標案−」と「国民生活に関する世論調査」(2011.10.調査)の発表が内閣府から行われたが、それらの指標(評価項目)を概括すると次のようになっている。

 「日本でいちばん幸せな県民」では、@生活・家族部門(合計特殊出生率・未婚率・転入率・交際費比率・持ち家率・1人当たり畳数・下水道普及率・生活保護被保護実人員比率・保育所収容定員比率の9指標)、A労働・企業部門(離職率・総実働時間・有業率・正社員比率・継続就業希望者比率・有業者の平均継続就業期間・完全失業率・障がい者雇用比率・欠損法人比率・作業所の平均工賃月額の実績の10指標)、B安全・安心部門(10万人当たり刑法犯罪認知件数・10万人当たり公害苦情件数・10万人当たり交通事故発生件数・10万人当たり出火件数・100万延実働時間当たり労働災害率・1人当たり地方債現在高・1世帯当たり負債現在高・1世帯当たり貯蓄現在高・65歳以上1人当たり老人福祉費・手助けや見守りを要する者の率・悩みやストレスのある者の率・悩みやストレスを相談したいが誰にも相談できないでいる者の率の12指標)、C医療・健康部門(1日の休養とくつろぎ時間・1日の趣味と娯楽時間・1人当たり医療費・10万人当たり病院+診療所の病床数・10万人当たり医師数・10万人当たり老衰死亡者数・10万人当たり自殺死亡者数・男の平均寿命・女の平均寿命の9指標)の4部門(40指標)を設定しており、指標の出所も明らかにしている。

 次に「幸福度に関する研究会報告書」では、@経済社会状況枠(基本的ニーズで14指標・住環境で9指標・子育てと教育で13指標・仕事で15指標・制度で5指標)、A心身の健康枠(身体的健康で5指標・精神的健康で9指標・身体と精神共通で7指標)、B関係性枠(ライフスタイルで7指標・個人と家族のつながりで8指標・自然とのつながりで5指標)の3枠(110指標)を提案しているが、全国規模で把握されていないものもあり、今後、全国レベル・全世代でパネルデータの形で試験的にデータを取り、指標試案の政策的有効性を検証すべきであるとしている。

 そして「国民生活に関する世論調査」では、「現在の生活について」の評価項目として、@去年と比べた生活の向上感(1項目)、A現在の生活に対する満足度(1項目)、B現在の生活の各面での満足度(所得と収入・資産と貯蓄・自動車や電気製品や家具などの耐久消費財・食生活・住生活・自己啓発や能力向上・レジャーや余暇生活の7項目)、C現在の生活の充実感(2項目)、D日常生活での悩みや不安(2項目)、E時間のゆとりの有無(1項目)、F生活の程度(1項目)を提示している。

 すなわち、これらの指標(評価項目)のグルーピングを含めての違いは、前者が府県単位(市区町村区分)を、後者の2件が国単位(府県区分)を観点としているために生じたものであることは明らかではあるが,「地域自治や分権」の観点に立った場合には、いわゆる地域特性を勘案しての見直しが不可欠であり、同時に、少なくとも行政と住民との間における「信頼」をベースとする公開・公平・協働などによる「合意形成」が不可欠である。

 「幸福度(満足度)」への取組みの実質的なスタートの年であるとの認識から、あえての提言とした。各位のご理解を賜れば幸いとするものである。


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