個別講演(5)

JR東西線・大阪ひがし線の建設

星野鐘雄氏(元JR西日本建設工事部長)

 まずこの20年を振り返ると、鉄道の場合はかなり充実した20年であったと思う。京阪神で144Kmの新線が出来た。地下鉄は京阪神3市で55Km。JRは東西線とおおさか東線の南部、私鉄線はなんば線その他である。整備中路線はちょっと寂しく、JRはおおさか東線の北部などで、東京の3/4にあたる。国鉄民営化などで旅客数は伸びたが、高齢化・少子化などで少しずつ減少してきている。関西圏と首都圏では旅客数が3倍ほど違い、関西圏では私鉄が多いが、首都圏ではJRと私鉄が拮抗している状況にある。

 JR東西線は国鉄時代には片福連絡線と言っており、片町線と福知山線を結ぶことしか考えていなかったが、JRになり、ネットワークを大事にしようとJR神戸線との3つの路線を繋ぐということで、開業時にJR東西線と名付けた。新駅として加島、御幣島などがあり、加島ではマンション群が出来ている。その他の駅は私鉄・地下鉄と連絡している。縦断面はジェエトコースターみたいに、駅を出てスピードが上がるときは下 り坂、ブレーキをかける時に上り坂になっている。淀川を地下40mぐらいで潜っているが、阪神大震災の時にはビクともしなくて、大震度地下利用法の促進に貢献したと聞いている。一番深い駅は北新地駅で線路は地下26m。営業区間は京橋、尼崎間で12.5km、運賃は210円。建設キロは尼崎駅の西側まで建設しているので13.4km、ほとんどトンネルとなっている。車両は8両対応である。

 平成9年に開業したときは自動出改札で、平成23年には北新地駅にホームドアが出来た。JRの場合は車両形式がいろいろでドアが一致しないので難しいが、広めのドアで対応し、JR西日本での第1号となっている。

 国土交通省がちょうど国道1号、2号に共同溝を作っていたので、一緒にやろうとなり、東西線の上が共同溝になっている。また北新地駅の所には地下駐車場が作られ、これらと費用分担しながら共同で作っていった。デイアモールとはどっちが先に出来るかが問題になっていた。JR東西線が遅れて地元に迷惑をかけたが、東京に負けない美しい地下街が出来たと感銘したことを覚えている。現在は北新地の駅と一体化しているのではないかと思っている。

 国鉄改革の時に整備方式で上下分離方式が出来た。これは建設を第3セクターなどが行い、運営は鉄道事業者が行い、鉄道事業者は第3セクターに線路使用料を払う方式である。このおかげで100Kmを越す鉄道整備が出来た。JR東西線の場合は建設主体が関西高速鉄道で運営主体がJR西日本。関西高速鉄道の名前の由来は、鉄道建設公団に変わるものを作って京阪神の鉄道を整備しようとのことだと伺っている。

 建設費は2000億位を予定していたが、バブルその他で3194億に膨らんだ。これを借金でまかなうと3セクは永久に赤字になるが、なんとか30年で借金を返済する仕組みにしなければならないので出資金 など1068億円の無償資金を調達した。出資金は752億円であるが、その半分の352億円がJR、関電など民間146社の出資である。私も各社に頭を下げてお願いした。

 借入金は日本鉄道建設公団や開銀、市中銀行から2126億円に及んだ。5%の利子を返していくことで3セクの経営が成立つ前提であったが、最近は利子が低くなっているので会社としては良い方向になっている。

 おおさか東線はだいぶ遅れて平成20年に 南半分が開業している。ここは貨物線があったので、複線の旅客線にするのに500億円弱で出来ており、地下鉄に比べ経済的であった。JR東西線とおおさか東線とも昭和38年、46年の都市交通審議会で位置づけられた路線だが、実際に国鉄の路線として認められたのは昭和56年、塩川大臣の時。 私はその直後から担当したので非常に長い期間かかっているが、世代毎に松明をつないでいけばいつかは出来るということである。おおさか東線の北側は新大阪に伸ばした後、なにわ筋線に 結ぶとの計画があるが次世代の課題である。

 補助金については、JR東西線の時はNTTの無利子資金くらいでほとんどなかったが、その後鉄道関係者が運動され、おおさか東線は26%の補助で、国が13%、府市が13%となっている。中之島新線は地下鉄並み の50%で、東急・相鉄・JR連絡線は67%と補助率が上がってきている。  
 JR東西線の 運行については、おおさか東線から朝は4本、帰りは3本程度が東西線に乗り入れている。学研都市線は京橋で止まっていたが、列車が都心まで入ってきて乗客も多くなり、乗降人員は北新地駅で10万人/日、大阪駅は85万人で、合計95万人となっている。

 JR東西線の意義をまとめると、

  1. JR3線を都心で直結。ちょっとした工夫であるが、大阪駅までの定期券やチケットで北新地駅を乗り降りすることが出来、回遊性を高めている。
  2. 大阪市中心部の地下鉄、私鉄と連絡。
  3. 国道の混雑緩和。
  4. 地下空間の一体的有効利用。
  5. 新しい鉄道建設方式による整備、と言える。

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