個別講演(3)

阪神西梅田開発について

久保田晃司氏(阪神電気鉄道(株)関連事業部長

 ハービスOSAKA、ハービスエント、ヒルトンウエストがあるあたりは西梅田土地区画整理事業で生み出された宅地である。昭和33年当時の航空写真には北ヤードに向けて掘割があり、物流に使われていたことが判る。貨物が堂島川を経由して市内に水運で運ばれていた。出入橋の名前は船が出入りすることから付けられたと言われる。

 昭和55年当時には阪神高速道路の梅田入路が写っているが、現在はJRの北側に移動している。周りにヒルトンホテル、阪神電鉄の本社等がある。

 阪神電鉄は明治38年に鉄道営業を開始しているが、駅は出入橋の手前にあり、神戸と結んでいた。明治39年には梅田に乗り入れているが、大阪市電の計画とバッティングするため単線で乗り入れている。大正3年には専用軌道・複線で乗り入れたが、駅は地上駅でハービスエントの辺りにホームがあった。その後、道路空間・鉄道空間の整備を行い、地下線で乗 り入れた。

 その周辺で、阪神百貨店のある大阪神ビル、ハービスエントの所にあった新阪神ビル、大阪神ビルとして阪神百貨店、ホテル阪神があった西阪神ビルなどのビル群をつくり梅田地区の経営をしていた。

 西梅田開発については、もともと国鉄の貨物ヤードであり、跡地の土地利用計画策定を当時の国鉄総裁が大阪市に依頼したことがスタートである。そして大阪市の計画を基に事業が進んでいったが、阪神電鉄としてはステップバイステップで進めてきた経緯がある。新阪神ビル、西阪神ビルの地下には線路があるため、まず線路を移設することが事業のキーポイントであった。もともと、なにわ筋に阪神電車の踏切があり、約3万台の交通量があるにも拘らず、ピーク時には1時間に50分も閉まってしまうと言う問題点があり、野田・梅田間の地下化計画があったが、梅田駅の取付け部分は土地区画整理事業で生み出された道路の下に線路を移設する計画へと変更を行い、地上の宅地を使えるようにした。

 昭和60年に西梅田土地区画整理事業組合の設立認可を受け、面的整備がなされ、併せて約10haの区域について再開発地区計画が策定されている。平成5年には阪神電鉄の野田梅田間の地下化が完了して、ハービスOSAKAの建設に着手できた。

  阪神西梅田開発第T期であるハービスOSAKAの完成に前後して、西梅田再開発地区計画区域内の中央に22m幅の道路が設置され、10棟のビルが立ち上がった。この道路下に線路が収まっているが、線路の上、B1階に地下歩行者道路を整備している。これは宅地を産み出すことで利益を享受する阪神電鉄が施設整備をしたものである。

  第T期にハービスOSAKAが立ち上がった時にはまだ新阪神ビル、西阪神ビル、阪神電鉄旧本社建物があり、それらを撤去した後にハービスエントが出来上がっている。

 ザ・リッツ・カールトン大阪は阪神電鉄100%出資の(株)阪神ホテルシステムズが事業主体で、運営をザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーL.L.C.に委託している。

 第II期に移る前に、阪神電鉄本社を野田に移転させ、元の福島駅があったところにラグザ大阪を建てホテル阪神を移転させている。西梅田を開発するために鉄道を移し、本社・ホテルを移し、その空いた空間に施設整備を行なってきている。

 ラグザ大阪はホテル阪神とマンションの複合建物で、温泉を掘ってホテル阪神の各部屋にも供給している。

 更に、平成12年には梅田2丁目土地区画整理事業が認可され、ハービスエント、ヒルトンプラザウエストの面的整備がスタートした。平成13年には西梅田再開発地区計画区域の拡大が行われ、ハービスエントの建設に着手した。 梅田2丁目土地区画整理事業区域内の真ん中に道路があったが、事業において南側の道路拡幅部分に置き換えた。

 大阪駅から西のエリアで、元々ゆとりや潤いの少なかったエリアにこうした施設を作ることで「梅田」を西に拡げる効果があったと思っている。OSAKA GARDEN CITYは「国際、文化、情報をキーワードに緑豊かなアメニティの高い街を創出」をコンセプトに地権者、開発者が整備をしている。阪神電鉄の西梅田開発としては、グローバル・ビジネス・コンプレックス、人間交流都市の実現をキーワードに取り組んできた。 ザ・リッツ・カールトン大阪は高品質のサービスを提供するということで、これまで大阪になかった高級外資系のホテルとしてのインパクトがあったと思っている。ハービスエントはアーバン・エンタテイメント・コンプレックスがコンセプトで、エンタテイメントについては四季劇場やビルボードライブ大阪を入れている。四季劇場は2005年1月にこけら落とし した。

  阪神としては梅田から福島を経て野田へ至る空間を一連の開発として取組んできた。西のエリアについて梅田との連続性が感じられるまちづくりに取組んでいかなければならないと考えている。

  阪神電鉄には阪神百貨店の大阪神ビル、その南にディアモール、西にハービスOSAKA、ハービスエントがあり、このエリア一体を質の高い空間にしていきたい。また、沿線が活気づくことで梅田地区にも影響が出てくるのではないかと思う。なんば線もひとつには沿線の活性化を狙ったものであり、北に南に便利な阪神沿線が梅田の活気作りにも貢献できればと思う。


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